「お応えします・2」

    子どもが文字や数と出会う

    お子さんをその世界にどう入り込ませてゆくか

 

大切なことは、文字や数を教えるか教えないかということではなく、教えるにしても教えないにしても、文字や数という文化の世界に、お子さんをいったいどのように入り込ませてゆくのかに、私たちは慎重でありたいと考えています。

 

私塾はやしでは、学校の学習に入る前に、まず、その「学びの経験の仕方」を身につけてほしいと強く願っています。

 

生徒の学習記録の中から、その学びの様子をご覧ください。

 

二日の2と二匹の2  中3:弘太

数学の先生が黒板を指しながら「ここわかんない人はぶっちゃけ終わりです」って、言ったことがある。数学が得意な人も、得意じゃない人も聞きたくない言葉だった。それからだった。「あれ、自分は数学できるっていうのかな?」って思い始めたのは。確かにテストでは、95点は取れる。でも授業は「つまんねえな」って思いながら聞いている。

 

自分にとっての、つまんなくない数学は教えすぎない数学なのだと思う。そう考えだしたキッカケは、林先生のところにある古い本からだった。『高校生になったら』田代三良著 それには、人類が「二日の2と二匹の2が同じあることに気づくまでには、限りない年月が必要であった」と書かれていた。以来、もし自分が幼稚園受験の頃、母に数を教えられていなかったらと思うと、もったいなかったなと感じるようになった。だからと言って、今更どうにもならないのかもしれないけれど、せめて疑問や驚きを大事にする学校であったらと思う。

 

今のところ、自分が数学のテストができるのは「簡単にするにはどうしたらよいか」を考えるからだと思う。林先生は「原理的に吟味することができるから」だと言ってくれるけど、そうなのかなと思う。でも、やっぱり95点のテストより「二日と二匹の2は、同じ2なのか」を考える少年でいたかったと思ってしまう。

 

 

「ひらがな:小学校入学までに教える方がいいの?」

年長さんの沙織さん(仮名)のお母さまから

「沙織は本を読んでもらいたがるばかりで、自分では読もうとも書こうともしないのですが。小学校入学までに、ひらがなの読み書きくらいは一通りできるようにしておく方がよいのではないかと気になっています」というお話がありました。

 

        『にほんご』

あおぞらを みあげながら

「そら」って いってごらん

かぜに なったつもりで、はしりながら「かぜ」って いってごらん。

どんな きもち?

ことばは からだのなかから わいてくる。

            福音館書店 安野光雅:大岡信:谷川俊太郎:松井直

 

『にほんご』を読んでいますと、子どもたちが文字と出会い、それを自分のものにするということは、ただ単に、文字という記号が読めたり書けたりするということを意味するのではないことに、あらためて気づかされます。

 

お子さんと、空に向かって「そら」って呼びかけるとき、風に向かって「かぜ」って言いながら飛んで遊ぶとき。その声が歌になるかもしれません。たった一回でも二回でもこのような「時」があったら、「そら」「かぜ」と書きたくなるかもしれません。

                           「月の夕べ」2024・6より引用

    

このように「読めた」「書けた」を競う前にやらなければならない大切なことがあります。最近のお子さま方をみていまして、「ひとつの全体のイメージ、例えば、お友だちにどうしても伝えたい内容の全体を把握し、その上でそれをどう分析して、言葉に変えれば伝わるのか」という「学びと練習の場」をお子さんの日々の生活の中に取り入れてゆく必要を感じています。

 

みなさまのお子さま方が、文字や数をよろこびを持って学びの道に入っていってくれることを願います。

 

私塾はやしは、「成長する思考力シリーズのとろびた」学林舎 「にほんご」福音館書店

などを使っての「語りかけ」の学習を提案します。

 

授業書(テキスト)につきましては、ナビゲーションの「私塾はやしの授業書」をご覧ください。